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特集「別室でミステリーを」

2022年5月22日

特集「別室でミステリーを5」②
フレイザー家の秘密(下)(2020年 テレビ映画)

監督 スサンネ・ビア
出演 ニコール・キッドマン/ヒュー・グラント/ドナルド・サザーランド

シネマ365日 No.3939

法廷のどんでん返し

特集「別室でミステリーを5」

グレイスは弁護側の証言台に立つ。妻が夫の無実を証言するのである。その直前にグレイスは友人であり弁護士のシルヴィアにあることを頼んだ。法廷。「彼に人は殺せません。結婚して14年。私は人の心を読む技術と知識があります。不貞では騙されても、彼の本質では騙されません」。弁護人「本質とは?」「彼は癒す人です。人々の命を救い。ガンの子供達を治療してきた。そんな人が人を殺すとは思えない」。検察「あなたは夫を愛している。もっと愛している人は?」「息子です」「父親のために夫を助けたいのですか」「違います」「確信バイアスをご存知ですね」「先入観に従い物事を見る傾向です」「彼の両親を知っていますか」「長らく疎遠でした。事故のせいです。彼の妹が彼の不注意で事故で死に、それがトラウマとなって疎遠になったと彼から聞きました。1週間ほど前お母様と話しました」「お母様はなんと?」「息子に事故のトラウマはなかった。ジョナサンは妹の死に罪悪感も悲しみもなかったと。あくまで彼女の考えですが、ジョナサンは苦しむ術を知らない。良心の呵責や悔恨の念というものがないと」「あなたの夫がパーソナリティ障害だと誰かに言ったことは?」「友人のシルヴィアに言いました。私の夫は自己愛性パーソナリティ障害だと」「その障害の特徴は?」「誇大性を示します。他には共感力の欠如です」「では、思いやりがあるのはウソだったのですか。あなたは自分にそう言い聞かせた真実をゆがめたのですね」「私は彼の本質をわかっています」。検察は言った「そうでしょうね」巧みな質疑応答によって、ジョナサンの本性が明らかになった▼自分の弁護士にジョナサンが言った「やられたな。グレイスにまんまと騙された。みんな君のせいだ」「私の? グレイスはこっちの味方だったのにあなたが見限られたのよ。彼女は検察と示し合わせていた。自分が検察側の証人に立てば被告人側に拒否される。でも被告人側の証人なら秘匿件は放棄される。そういう作戦だったのです」。息子は祖父に聞いた「ママはわざと証言を?」「嘘をつくわけにはいかん。ママは証拠(凶器のハンマーを息子が隠していた)を提出できたが、それではお前が証拠隠匿で捕まる。学校は退学でお前は少年院行きだ」。ジョナサンは暴走する。息子を人質に高跳びを図るが、彼自身もうどうなってもいいと思っていた。「パパ、どこへ行くの?」「ただのドライブさ。人にはこういう時があるのだ。自分を見失う、すると別人になる。だけど本当の自分がなくなるわけではないのだ」「パパは人を殺したのだよ」「別のパパだ。本当のパパじゃない」。自分自身に怨みのこもったジョナサンの、それこそ別人の顔が現れた。橋梁から飛び降りようとしたジョナサンは、パトカーとヘリコプターで追跡した警官隊に取り押さえられ、息子は母親の手に戻る。後半に入ってストーリーは加速し、法廷シーンでどんでん返しを見せます。どうしても崩れなかったジョナサンの「無実主張」を、グレイスは彼の母親の証言を検察にリークして、人格障害で追い詰めたのです。考えてみれば夫を有罪にする妻の作戦とは、あまり後味のいいものではありませんが、人と共存する能力のないジョナサンの、残酷な殺人行為を証明するにはそれしかなかったのかも▼ニコール・キッドマンもさることながら、1人の人格に重なる悪の存在という難しいキャラを、受けて立ったヒューさまと、ドナルド・サザーランドの自称「筋金入りのゲス」に拍手。

 

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