女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集「別室でミステリーを」

2022年5月26日

特集「別室でミステリーを5」⑥
TABOO タブー(下)(2017年 テレビ映画)

製作BBC
監督 クリストファー・ニホルム/アンダーズ・エングストロム

出演 トム・ハーディ/ジョナサン・プライス/ウーナ・チャップリン

シネマ365日 No.3943

死屍累々

特集「別室でミステリーを5」

そもそも何が「TABOO」なのか。東インド会社のトップ、ストレンジ卿はアメリカにヌートカの土地を英国に譲渡しないのは国家への反逆罪としてジェームズを告発します。ジェームズはストレンジ卿の裏の顔を知っていた。彼がロンドンに帰国するために乗った船は途中で名前を変え、違法とされた奴隷売買に携わった、ストレンジ卿の指示だった。途中船は沈没し乗組員と奴隷200数名が溺死、生き残ったのはジェームズ1人だ。彼は奴隷商人に助けられ売買に手を染め、商人から盗んだダイヤを持って帰英した。それを供述すれば東インド会社は壊滅だ。しかもジェームズは船長の指示で船底にいた奴隷たちの出口を釘付けにしたのだ。重い罪だった▼王室が一枚噛んでいる。国家反逆罪に問われたジェームズは、ロンドン塔の拷問室で父親から譲渡されたヌートカ一族との協定書を渡せ、イギリスにいるアメリカのスパイの名を言え、火薬の隠し場所を言えと痛めつけられるが耐え抜き、逆にストレンジ卿との面会を要求する。王室も英米間抗争の地であるヌートカを手放さず、権勢を伸ばす東インド会社を排除し交易権を独占したい。ジェームズと会社をうまく操ってどちらも消したい。ジェームズとストレンジ卿の面会を許可した。相対した部屋でジェームズが供述書を書いている。「アフリカの港を出港した東インド会社の船は名前を変え、途中の港で違法な奴隷を積み込み、星条旗をなびかせた。船の所有者はストレンジ卿だ。国家への反逆罪以外の何物でもない。1時間後に王室秘書官と弁護士の尋問がある。今言ったことを書面で欲しがるだろう。正午にゴッドフリーが王立委員会に供述書を届けあなたの隠匿を暴く。4時間待ってやる。船を用意しろ」。ジェームズがイギリス脱出のため買い入れた船は東インド会社の配下が爆破していたから、新しい船が必要なのである。ジェームズの協力者たちは船に乗り込むため港に急いだ。しかしストレンジ卿も手をこまねいていなかった。満潮に帆を張った船に兵隊を差し向け(東インド会社は武装集団を擁していた)、一斉掃射を浴びせる。激しい銃弾戦に生き残ったのはローナ、アティカス、ゴッドフリー、変人化学者らわずかで、無傷の者はいなかった。最後の謎はアメリカのスパイは誰だったか。ストレンジ卿が執務室に入る。ジェームズ一味を一掃したと肩の荷を降ろし上機嫌だ。贈り物の上質の箱が届いた。定めし交易を結ぶことになる中国からのお茶だろうと蓋を取った。東インド会社の最上階が吹っ飛ぶ爆弾だった。出港したジェームズの船は沖合に出た。「米国へ?」と訊くアティスカに「いいや」とジェームズは別の地名を挙げた。積荷は米国人に売る火薬のはずなのに。訝るアティスカに「俺たちが米国人だ」。そう言ってジェームズが指示した国旗は星条旗だった。スパイあるいはスパイと目される人物は数人登場するが、みな脇役かスパイを騙る偽物で、本当のスパイはジェームズだった…翻る星条旗でラスト。ジェームズの父親の死因はヒ素による毒殺ですが、手を下したのは召使いのブレイズです。精神に異常をきたし、自殺未遂を繰り返す主人を見かねた慈悲殺だったとジェームズに打ち明けた。彼は「自由の国」がブレイズの老齢には適さないと判断し、本国に残しました。妹ジルファはジェームズとの愛の破綻に苦しみ、テムズ河に身を投げました。いたるところ死屍累々、結ばれる愛とか恋とか、甘さゼロのハードな物語の割に、制度や身分ゆえ傷ついた人々をさらに傷つけようとしない主人公の行動に、違和感ありすぎと取るか、せめてもの贖罪と取るかは分かれるところでしょう。ジェームズは夢を叶えるアメリカン・ドリームの国を目指しましたが、さあどうなる。ドリームとは甘いものでしょうか。トム・ハーディはシーズン2を構想中です。

 

あなたにオススメ