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令和4年6月のベストコレクション

2022年6月5日

特集「令和4年6月のベストコレクション」⑤
マトリックス レザレクションズ (2021年 SFアクション映画)

監督 ラナ・ウォシャウスキー
出演 キアヌ・リーブス/キャリー=アン・モス

シネマ365日 No.3953

「オタク道」への情熱 

特集「令和4年6月のベストコレクション」

マトリックス」(1999)「マトリックス リローテッド」(2003)「マトリックス レボリューションズ」(2003)で、3部作完結となったシリーズの新章です。ネオはAIとの戦いで人類を救うものの命尽きたが、実は機械によって蘇生させられ仮想現実(マトリックス)の世界に繋がれていた。そこでは、彼は世界的なゲームデザイナー、トーマス・アンダーソンとなり、新種のゲーム開発に当たっていたが、時々デジャブ(既視感)に襲われ、精神状態に自信を失い、セラビーに通い青いカプセルの処方薬を服用していた。昼休みに同僚とカフェに行った彼は、ティファニー(キャリー=アン・モス)という子連れの女性に紹介される。2人ともどこかで会った気がするが思い出せずにいた。オフィスに戻ると14歳の少年から犯罪予告が届き、全員避難するよう指示が出る。トーマスのスマホに「真実を知りたければ奥の部屋に入れ」と入った。そこはトイレで「マトリックス」のキャラクターであるモーフィアスがいた彼は赤いカプセルをみせ、それを飲んで「救世主ネオ」として現実世界に帰還するよう説得した▼ここは人間の現実世界。仮想社会でネオを見た、彼は生きていると信じる仲間がいる。ネオが救った人間社会の要塞都市「ザイオン」は機械と機械の争いで消滅し、新しい都市「アイオ」ができ、機械と人間の平和な関係を築いていた。トーマスは自分がネオであることに覚醒した。しかし最愛のトリニティはマトリックスの中に繋がれ、偽の記憶を植え付けられた「ティファニー」に満足している。連れ戻そうとする。しかし2人を遺体から蘇生させ、高効率な発電機として利用した張本人が「マトリックス」の新しいアーキテクトであるアナリストだった。彼はネオのセラピストとして彼を監視し、「マトリックス」から脱出させまいとしていた。ネオとトリニティが救世主として蘇ると、アナリストの「マトリックス」における管理者権限は失われるからだ。ネオは仲間の協力を得て再び「マトリックス」に戻り、ティファニーに会う。ティファニーは記憶が蘇りトリニティとしてネオと現実世界に帰還しようとする。還すまいとするアナリストとエージェント・スミスが後を追う。ネオとトリニティは高層ビルの屋上から手を握って飛び降りるが、飛翔能力があったのはトリニティで、ネオは彼女に引っ張られて現実社会「アイオ」に戻る。後日「マトリックス」でアナリストの家を訪問した2人は、彼をボコボコにし、それまで「繋がれていた」鬱憤を晴らし、しかし「2度目のチャンス」を貰えたと礼を述べ、新しい世界を作るために旅立つ▼斬新な切り口があったわけではなく、焼き直しの感が強いのですけど、それを言ってしまうと、第2作も第3作も大同小異だった。でもわたしたちが「マトリックス」に期待し続けたのは、焼き直しだろうと蒸し返しだろうと、ワケのわからぬ「鏡のスルー」や「ドアを開けたらそこは別世界」という荒唐無稽のカラクリだろうといいのだ。「マトリックス」の魅力は「仮想現実」そのものにある。今の社会で鎖に繋がれた人間が、いつかヒーローとして覚醒する時空を超えたお伽噺なのだ。ラナ・ウォシャウスキー監督は、仮想と現実の一致がなされる脳内の異空間を解き放ってみせる。その異空間こそがスマホに頼り、デジタルに引き摺り回される人間に残された、唯一の「真の楽しさ」であることを信じ愛している。私たちを「マトリックス」に惹きつけてやまないものは、彼のこの「オタク道」への情熱と信頼への共感なのだ。

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