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令和4年6月のベストコレクション

2022年6月16日

特集「令和4年6月のベストコレクション」⑯
アリス・クリードの失踪(2011年 犯罪映画)

監督 J・ブレイクソン
出演 ジェマ・アータートン/エディ・マーサン/マーティン・コムストン

シネマ365日 No.3964

小気味のいい映画

冒頭10分、セリフなしの誘拐準備の手際のよさに見惚れる。ホームセンターでの買い物、ドリルにシート、部屋の防音加工、盗難者のナンバーのすり替え、ベッドにはパシッとサラのシーツ。誘拐した富豪の一人娘アリス(ジェマ・アータートン)を運び込んだ。ハサミでチョキチョキと服を切り離しあっという間に全裸。でも男たちはレイプに関心なさそう。身代金獲得に一意専心のプロの2人組は刑務所帰りの中年男ヴィック(エディ・マーサン)と若いダニー(マーティン・コムストン)だ。登場人物はこの3人だけ。ヴィックがアリスの父親に誘拐を告げに外出した。留守番役のダニーの隙を見てアリスが反撃、拳銃を向けられたダニーが目出し帽を取って顔を見せる。「アッ」。彼はアリスの元恋人だった▼そうとわかり「ここから出して」アリスは最初こそそう懇願していたが、ガラリ支配権を握る。ああだ、こうだと喋っているうちダニーが「愛している」なんて言い出す。ヘッ、愛しているなら誘拐なんてしないとアリス。そりゃそうだわね。父親とは不仲で勘当同然の彼女は、ヴィックを騙して金を持って逃げようと持ちかける。ホイホイその気になるダニーの危うさ。帰ってきたヴィックはでも凄腕だ。留守中ゴチャゴチャあったに違いないとピンとくる。確かに、壁に打ち込まれた弾丸に薬莢、アリスのポケットから落ちたケータイで、ダニーが裏切ったとわかる。ダニーを外に行かせ、白状しろとヴィックがアリスに拳骨で2、3発。かなり痛そうです。アリスはあっさり、ダニーは金を独り占めにするつもりだと吐く。おいおい、キミも一丁噛んでいるではないか。富豪のお嬢さんということですが、しぶとさと巧みな誘導で男2人を翻弄する。ジェマ・アータートンがじわじわ正体を出すけっこうなビッチぶりで、三角関係を盛り上げます▼三角関係とは、ヴィックとダニーもまた農厚な恋人同士だ。刑務所内でヴィックはダニーを守った。男同士のハードなキスシーンは思わず引きます。ダニーの裏切りを知ったヴィックは拳銃を突きつけるのですが殺せず、とりあえずアリスを注射で眠らせ、シーツでぐるぐる巻きにして倉庫に移した。ヴィックは首尾よく身代金200万ドルを手中にした。車で逃走という段になって、やっぱりヴィックはダニーを撃って金を独り占め。アリスは倉庫に手錠で繋がれ置いてきぼりにされそう。撃たれたダニーがよろよろと現れヴィックを射殺し、アリスは助けず車に乗った。アリスは倒れたヴィックの手元にある鍵にやっと足が届き、手錠を外す。車を運転して脱出する。しばらく走ると道に血のついたドル札が落ちている。よく見ればあそこにも、ここにも、木の葉のように散らばっている。停車する車が見えた。ダニーが死んでいる。ドアを開けると転がり落ちた。アリスは運転席でバッグを改める。200万ドルだ。ダニーの死体に振り向きもせず発車。彼女は金を持って失踪した。これが「アリス・クリードの失踪」の意味。ちょっとしたどんでん返しですね▼エディ・マーサンはイギリスの俳優です。54歳(2022)。芸域が広く「ハイヒールを履いた女」ではシャーロット・ランプリング、「人生はシネマティック!」でジェマ・アータートン、「アトミック・ブロンド」でシャーリーズ・セロン、最高の女優たちだけでなく「博士と狂人」ではメル・ギブソン、ショーン・ペンと共演しました。ジェマ・アータートン作品は何度も「シネマ365日」でアップしていますので割愛します。UK映画界で期待されるマーティン・コムストン。覚えておられるでしょうか。「シモンの空」で、スキー場近くに住む貧しい姉弟、レア・セドゥの弟(実は息子)を演じた少年です。

 

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