女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

令和4年7月のベストコレクション

2022年7月1日

特集「令和4年7月のベストコレクション」①
渚の果てにこの愛を(上)(1970年 恋愛映画)

監督 ジョルジュ・ロートネル
出演 ミムジー・ファーマー/ロバート・ウォーカー/リタ・ヘイワース

シネマ365日 No.3979

帰ってきた息子

ミムジー・ウォーカーは「4匹の蝿」で「最高のビッチ」として取り上げていました。4人の男を殺す連続殺人犯でしたけど、本作はその2年前の映画で、やっぱりサイケな役が似合っている、と思いました。海辺のダイナー兼ガソリンスタンドにヒッチハイクでたどり着いた青年ジョナス(ロバート・ウォーカー)を、女主人のマラ(リタ・ヘイワース)は4年前に家出した息子のロッキーが帰ってきたと信じる、もしくは信じたフリをするところから物語が始まります。ロッキーには妹ビリー(ミムジー・ファーマー)がいる。出先から彼女が戻れば、自分が兄ではないと一目でわかるはずだ、そう思っていたジョナスは、顔を合わせるなりビリーが「兄さん、元気?」と抱きついてきたことにうろたえる。マラの男友達エドも彼をロッキーだとして扱う。たった4年前だ、実の兄、息子の顔を見間違えるはずがない。なのに、彼らはジョイスがロッキーだと主張する。謎だ▼とはいえ、食べる物に不自由はないし、住まいは快適だし、ちょっとばかり給油の手伝いをして、あとはビリーと市場に買い物に行くか昼寝をするか、マラの話し相手をするくらいだ。ジョナスはズルズルと居着いてしまう。ビリーとどんどん親しくなった、どころか関係を持ち、どこに行くのも一緒。仲のいい〝兄妹〟の様子を垣間見たマラはビリーに言った。「ビリー、また始めるつもり? 昔みたいに」。マラは世間話のようにロッキー(ジョナス)に話しかける。「リンダとは会っていないのね。気の毒だわ。あなたと一緒に行くと思ったけど、リンダは残った。きっとお前とビリーのことがショックだったのね。かわいそうに。2年前に家を出たそうよ。お前はもう出て行かないでね、約束して」。リンダはエドの娘だ。「リンダは元気?」とロッキーはカマをかけた。「娘かね。滅多に会わないよ。町でバーをやっている。大きな風車が目印だ」。ジョナスはその店を訪ねた。リンダはジョナスを見て驚いた様子もなく、初めて来た客として接する。「リンダは俺を知らない。俺がロッキーに似ているからマラもビリーも間違えたのかと思ったがそうじゃなかった」謎は深まる。ビリーの留守を見計らってジョナスはロッキーの写真を探した。見つけた。部屋に入ってきたビリーに詰問する。「この写真は兄貴だろう。どういうことだ。なんで別人の俺をロッキーと呼ぶ?」「ママのためよ。兄がいなくなって寂しそうだったから。でもあなたがきて今は嬉しそう」「俺はジョナスだ。ここへはたまたま通りかかっただけだ。家を出る。マラは俺を息子だと信じている。騙しているのはよくない」。ロッキーのことを知りたい好奇心からジョナスはリンダに会いに行く。「あいつ、今どこに? 私たち駆け落ちするつもりだったの。でも彼は待ち合わせの場所に来ず私は家に帰った。振られたのよ」そして唐突に「あいつ、妹と寝ていたのよ」。エドはマラにこういう。「ロッキーも帰ってきた。でもビリーとふたりで出ていくと君は独りだ。私も独りだ。一緒に暮らさないか。若いものはいつか出ていく。引き止められないよ」。マラを傷つけまいと差し障りのない言い方をしていますが、裏に深い意味のあることが後でわかります。なにゆえ、彼らはジョナスがロッキーだという芝居を続けるのか、その理由が。

あなたにオススメ