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令和4年7月のベストコレクション

2022年7月5日

特集「令和4年7月のベストコレクション」⑤
緋色の街/スカーレット・ストリート(上)(1945年 犯罪映画)

監督 フリッツ・ラング
出演 エドワード・G・ロビンソン/ジョーン・ベネット

シネマ365日 No.3983

雪の降る街を

公開は1945年ですから随分前です。にもかかわらず、いい映画はいつ観たっていいのだ、という素朴な満足を与えてくれる。まじめ一途に働いてきた出納係、クリス(エドワード・G・ロビンソン)の勤続25周年を祝うパーティーが開かれる。社長は長年の労をねぎらい、自分の14金の懐中時計をプレゼントした。社長が迎えの車に乗るのが2階の窓から見える。金髪の美女が中にいた。「チャーリー、あの女性は社長の愛人かな。あんな若い女性に愛されてどんな気分だろう。私はモテたことがないからね」それがクリスだった。パーティーの帰り暴漢に襲われる美女キティ(ジョーン・ベネット)を助けた。キティは娼婦で、ヒモのジョニーと揉めていただけなのだが、女優と称したキティの言葉をクリスは鵜呑みにする。コーヒーショップに誘ったクリスは「楽しみで絵を描いている」と自己紹介する。キティは別れ際にコップに刺してある花をくれた。クリスは大事に持って帰り、絵にした▼クリスにはアデルという妻がいる。猛妻である。家に帰ればエプロンをつけ、洗い物をするクリス。アデルの元夫ヒギンスは刑事だった。5年前、川に落ちた女性を助けようとして行方不明になり溺死したと判断された。アデルの家に下宿していたクリスは寂しさから結婚。家政夫のようにこき使われている。キティのヒモ、ジョニーはクリスがキティに宛てたラブレターを読み「君にベタ惚れだ。カモだぜ」とそそのかす。キティは言葉巧みにクリスをその気にさせ、アトリエとして高級アパートを借りさせた。絵を書くことすらアデルに嫌われたクリスは、画材道具と絵をアパートに運び込む。キティの金の無心は募り、クリスは会社の金に手をつける。クリスが有名な画家だと思い込んでいたジョニーはそうでないとわかると、捨てるみたいに露店の売絵屋に預けた。ところが高名な美術評論家の目に留まり、彼は画廊主を連れてアパートを訪れた。ジョニーは咄嗟に描いたのはキティだと紹介し、キティはクリスから得た絵の知識を受け売りして画家になりすました。評論家と画廊主は新進画家としてキティを売り出すと決める▼アデルは通りかかった画廊でクリスの絵が売られているのを知るが、実は天才的な画家キティの絵を盗作していたのだと責め立てる。驚いたクリスはキティに訳を訊くが「生活のためやむなく自分のサインを入れて売った」というキティを信じ、「僕が売り込んでも相手にされなかった。若く美しい君が描いたことにした方がいい」そして自分の絵が高く評価されたことを喜ぶ。妻のアデルといい、キティといい、虫唾が走るような女。しかもクリスの不運はまだ続く。死んだはずのアデルの夫ヒギンスがうらぶれた姿で現れ、自殺するつもりで川に落ちた女の後から飛び込んだが、咄嗟に掴んだ彼女の帽子に財布があり大金が入っていた、それを盗んだまま姿を隠していたと。アデルと復縁するつもりはなく、黙って姿を消してやるから金をくれという。ヒギンスが生存しているとなれば自動的に自分とアデルの結婚は無効になり、キティと結婚できると考えたクリスは、アデルが隠している生命保険証を盗み出すようヒギンスをそそのかし、夜中に家に引き入れアデルと対面させる。狼狽えるアデルをそのままに、荷物をまとめたクリスはアパートに直行、そこで見たのはキティとジョニーの情事だ。ショックでアパートを出たクリス。目撃されたふたりは、お前のせいだ、あんたのチョンボだとなすりつけあい、ジョニーは怒って部屋を出る▼バーで酒を飲んだクリスはアパートに引き返しキティを責める。キティはクリスを罵り「私と結婚する?  誰があんたみたいな醜い老人と」。クリスは怒りにまかせアイスピックで滅多刺しにして殺す。容疑はジョニーにかかり、死刑が確定した。5年後。ふたりの人間を死に追いやったクリスは罪悪感に苦しむ。会社は解雇され、ホームレスとなって雪の積もった公園のベンチで寝起きしている。何度も自首するが相手にされない。首を吊ったが助けられた。あてもなく街を歩いていたら画廊にキティの「自画像」がかかっていた。惚れ込んだセレブの夫人が1万ドルで買っている。知ってか知らずか、クリスは蹌踉と雪の降る街を歩く。

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