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特集「最高のビッチ」

2022年7月29日

特集「最高のビッチ16」⑫ エリノア・パーカー1
女囚の掟(上)(1950年 劇場未公開)

監督 ジョン・クロムウェル
出演 エレノア・パーカー/アグネス・ムーアヘッド/ホープ・エマーソン

シネマ365日 No.4007

あんた、夫が死んで幸福ね

特集「最高のビッチ16」⑩

劇場未公開だったけど、いい映画だった。犯罪者集団のイジメ、レイプ、虐待などで描かれる女子刑務所ものでなく、不運な巻き添えを食ってムショ入りした19歳の世間知らずのマリー(エレノア・パーカー)が、ふてぶてしい犯罪者となって出所するという、いわゆる更生物語とは逆。同房の女囚らは互いに助け合い、出所後の仕事まで面倒見てやる運命共同体だ。尤もその紹介先は犯罪組織なのだが「衣食住・ボディガード完備」と、大真面目に説得するキティが普通の娑婆世界とのギャップを体現している。女囚らの前に立ち塞がるのは看守長ハーパー(ホープ・エマーソン)だ。ベントン所長(アグネス・ムーアヘッド)は正義感の塊で、女囚たちの更生に親身に取り組むが、ハーパーの所業には手を焼く。女囚たちに賄賂を要求し、金がないとわかると劣悪な環境で作業させる。マリーは妊娠2ヵ月だった。所長は軽作業の洗濯室勤務を命じたが、マリーの夫は殺され、家族も貧乏とわかると重労働の床掃除に変えられた。そうじゃないと言いかけたマリーを、2段ベッドの隅にいた老齢の女囚が唇に指を当て(しゃべるな)と合図する。逆らうとハーパーは倍にして返すのだ。立場を悪用する、徹底的に意地の悪い女である▼夜は就寝時刻まで犯罪歴の自慢話だ。「悪徳宝石商と組んで5万ドル相当盗品ダイヤを隠した」「1日に6人騙して捕まる前に街から逃げた」「私が好きになったのはダメ男ばかり。でも男って大事な存在だよ」「男のために塀の中に入ったのにかい?」「私は5回結婚した」「それが何か?」「問題ないわ。同時に全員と結婚しなければ」。寝静まると変な歌声と共に徘徊する女囚がいた。豪邸から父親が迎えに来るらしい。マリーがオロオロしていると、ある女囚が人差し指で自分の頭を指し(かまうな)と教えた。マリーは妊娠6ヵ月になった。せり出してきたお腹を抱えて所内の庭を散歩し、日向ぼっこする。仲間は雑談中。「母さんから手紙がきたよ。〝問題なく暮らしていると思います〟…今以上の問題なんてある?」▼キティが話しかけてきた。「出所後も盗みを続けるのかい。組織で働けば、スリ、万引き、置引き、ケチな仕事じゃないよ。守ってくれる男たちもいる。私に任せれば仮釈放が早くなる」。早い話売春だ。「お気持ちはありがたいけど、犯罪とは縁を切りたいの。自力で生きていかないと」。マリーは断った。だからといってキティは根に持つような女でもなかった。マリーが貧血で倒れた。介抱する女囚たちに「私の名前でカルシウムとビタミン剤を看護師に調達させな」と助け舟を出す。ジューンは仮釈放を熱望していた。理事たちの審問会に名前が上がった。審問にパスすれば釈放だ。ジューンは男のせいで刑務所に来た。「セックスを愛だと思っていたの。汚い仕事を気づいたときは手遅れ。別れられなくなっていた」マリーに「あんた、夫が死んで幸福ね。死んだ男はあんたを再犯にしないわ」。同房の女たちはジューンの囚人服に「アイロンかけてやるよ」「髪をカールしよう」「香水を貸すよ」。精一杯身綺麗にして送り出した。結果は「ダメだった」。うなだれてベッドの端に腰かけたジューンに、マリーはタバコに火をつけ黙ってジューンの唇に咥えさせた。彼女らはそれとなくジューンの様子を見ていた。精神状態が危ない。ハーパーに「所長に報告を」と頼んだが当然のごとく無視。その夜ジューンは首を吊った。

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