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令和4年8月のベストコレクション

2022年8月3日

特集「令和4年8月のベストコレクション」③
ナイトメア・アリー(上)(2022年 ダーク・ファンタジー映画)

監督 ギレルモ・デル・トロ
出演 ブラッドリー・クーパー/ケイト・ブランシェット/ルーニー・マーラ/トニ・コレット

シネマ365日 No.4012

絶妙のコールドリーディング

インチキ読心術師、スタン(ブラッドリー・クーパー)が、富と名声を手中にするが、全能感に溺れ破滅する話。主人公スタンは紛れ込んだカーニバル(巡業見せ物ショー)の一座で出会う主な人たち。クレム(ウィレム・デフォー)。獣人(ギーク)を操る冷酷な男。ホームレスやアルコール依存症の男を見つけ、麻薬入り酒を飲ませて禁断症状に陥れ、鶏の首を食いちぎり生き血を吸うなどの残酷なショーをやらせる。ジーナ(トニ・コレット)、パートナーと組んで読心術をやる人気者。自分の術は種も仕掛けもある〝嘘〟だと割り切っていて、悪用する気はない。騙しの術に使えば身を滅ぼすと早くからスタンに警告していた。ピート。ジーナのパートナー。独自の暗号まで作り出す優れた読心術師だがジーナほど楽観的でなく、人をたぶらかしているという呵責を酒に紛らし、結果的に酒で死ぬ。モリー(ルーニー・マーラ)、父親は詐欺師(みな詐欺師みたいなものだが)のカーニバル育ち。全身に電流を流す危険な電動人間ショーをやる。純粋で心やさしく、衣装は愛を象徴する赤。ジーナの舞台衣装は生命と実りの緑と金だ。モリーに惚れたスタンが、独立して2人でショーをやろうと持ちかけ、モリーは断るが、警察の手入れ(動物虐待と風紀紊乱=特にモリーの水着姿)があったとき、スタンがピートから習い覚えたコールドリーディングで警官を追い返す。感激したモリーは彼と一緒に出ていく。世界最強の男ブルーノ(ロン・パールマン)。モリーの父親代わり。一座を離れたモリーはいつも彼のことを懐かしんだ▼カーニバルは、はぐれ者たちの寄り合い世帯みたいなコミュニティで、それなりに仲間意識があり、過去を詮索せず、氏素性に触れない、スタンにとって居心地のいい場所だったが、金と野心に取り憑かれたスタンは、習得した読心術で一流のショーマンを目指し、仲間と袂を分かった。ここから彼の運命は狂います。そのきっかけが、リリス・リッター(ケイト・ブランシェット)でした。心理学博士。スタンのステージを見にきた彼女は、彼の読心がインチキだといちゃもんをつけます。スタンはこれを得意のコールドリーディングで返り討ちにする。コールドリーディングのいくつかの具体的なネタバレを劇中でスタンがしています。かいつまんで言うと観察法のひとつです。外見や何気ない会話から相手の心を読み取り、「これこの通り、私はあなたのことをよくわかっている」と信じ込ませる。相手の身に着けているもの、男性は靴、女性は装飾品、ふとした仕草、会話中何度か出てくる同じ言葉などを観察し、性格や職業を推測する。情報を引き出す質問や対応は、統計的に誰にでも当てはまる内容を用いる。低年齢だと異性、進路、家族とのトラブル。成人には人間関係、職場での承認要求、自己実現の悩み。高齢者には伴侶・身内の死、介護、病気などリリスに対するコールドリーディングはこんなふうだった▼リリス「なぜ私が銃を持っているとわかったの?」「バッグの持ち方を見た。重そうだった。結婚指輪はない。独身だ。一流ナイトクラブで楽しむが、居酒屋にも行く。ひとり暮らしで男がいなければ銃を持っていると考える。レディらしく小型の拳銃で22か25口径の6連発だ」「母の話をしたのはなぜ?」「女性は常に母や父の問題を抱えている。あなたを読むのは簡単だ」。スタンはちょっと調子に乗り過ぎた。リリスのような自己顕示欲が強く、優位でなければ我慢できない女性は、モリーのように純真にスタンの術に感動しません。ふん、たかがインチキ男。これが復讐の遠因になります。

 

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